2019、9、12
卒業式の後、夕方からは謝恩会が開催されることになっていた。
一度家に帰り、少し仮眠を取る。
なぜなら今日は徹夜になるからだ。
謝恩会の後、カラオケボックスに入って一晩中というのが毎年の恒例らしい。
恐ろしいことだ。
そんなこと、学生時代以来やったことがない。
夕方に目を覚まし、着替えて難波の謝恩会会場へ。
ほとんどの先生は出席下さっている。
何人かの先生には個人的にもお礼を言いたかったのだが、レクレーションや何やらが
満載で話す機会もない。
そうこうしているうちに会は終了。
先生方を見送って、会場を出ると我々はぞろぞろとカラオケの店に。
カラオケボックスと言っても30~40人ほど入れる大広間だった。
見ると数人の先生方はここまでもお付き合いくださっている。
その時点で21時ぐらい。
なんとそこから朝の5時ごろまで熱唱が続くのである。
歌う曲もない僕は何とか一曲だけマイクを握ったきり、後はずっと頭の痛くなるような
大音響の中で漫然と時間を過ごす。
他の者もそりゃ疲れていると思うが、三年間の打ち上げとなるとそれぐらいは必要な
のだろう。
6時を過ぎたころにようやく外に出ると、空は白々明け始めている。
僕はその日、朝の10時から合唱団の指導があるので、皆に別れを告げて喫茶店で時間
を潰して練習会場へ。
一睡もしていないわりには元気である。
12時に練習を終え、地下鉄を何度か乗り換えて自分の寝床に向かって帰る。
そのころにはかなり頭がぼーっとして来た。
ある地下鉄の駅で電車を乗り換えるべく構内を歩いていると、一人の男性が「一緒に
行きましょうか」と声を掛けて下さり、腕を借りる。
ホームに降りる階段を共に下ったところで、僕とは逆の方向の男性の乗る電車が到着
したので、彼は挨拶してその電車に乗り込む。
僕は一人でホームの上をぶらぶら進む。
眠気で頭がぼーっとして思考が働かない。
ふと気が付くと地面が消え、体がふわりと奈落に落ちる。
その刹那「どうして僕は線路に落ちるのだろう」と不思議に思ったことを覚えている。